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その他2026.04.17

TSMCの日本法人JASM第一工場の稼働・第二工場建設と熊本・シリコンアイランド復活の最前線

こんにちは。リージョナルキャリア熊本の田尻です。

TSMCの日本法人「JASM(Japan Advanced Semiconductor Manufacturing株式会社)」をめぐる動きが、熊本を中心に急速に進んでいます。

第一工場の稼働開始に続いて第二工場の建設も始まり、「新生シリコンアイランド九州」という言葉も聞かれるようになりました。
また、台湾半導体産業の歴史を描いたドキュメンタリー映画「造山者」の上映会が肥後銀行本店ビルで開催されるなど、日台の半導体をめぐる盛り上がりは地域にも波及しています。

今回は、改めてJASMと熊本の半導体産業の今をまとめてみました。

1.JASM第一工場の着工から建設、稼働まで
2.第二工場の着工・稼働予定、採用ポジションに関して
3.新生シリコンアイランド九州とは
4.台湾の半導体産業史

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1. JASM第一工場の着工から建設、稼働まで

設立からスピード着工へ

JASMは2021年12月に法人として設立されました。
TSMCが同年10月に日本工場の建設方針を発表、翌11月には熊本県への進出を正式に表明。
その後、わずか数カ月でJASMが立ち上がりました。

建設場所は熊本県菊池郡菊陽町。
ソニーセミコンダクタマニュファクチャリングや東京エレクトロンなどの半導体関連企業がすでに集積しており、豊富な水資源を持つ地域です。
国内外の企業立地において、優れた条件が揃うエリアとして選ばれました。

2022年4月に工事を開始。2023年3月に上棟式を迎え、同年12月には建屋が完成。
東京ドーム約4個分に相当する約21ヘクタールの敷地に、地上4階・地下2階建ての工場棟が立ち上がり、国内最大規模のクリーンルームを誇る施設が完成しました。

2024年2月24日開所式が開催され、2024年12月27日には熊本第一工場の本格稼働と量産開始が発表されています。
第一工場の総投資額は約86億米ドル(約1兆3,000億円)。うち日本政府が最大4,760億円を助成しています。

採用人数と当時の募集ポジション

第一工場の立ち上げにあたって、JASMは段階的に採用を拡大してきました。
内訳は台湾TSMCから派遣される技術者約320人、ソニーグループからの出向技術者約200人、新卒・中途採用による新規採用約700人、アウトソース(外部委託)約500人で、第一工場だけで約1,700人規模を見込んでいました。

新卒採用は2023年春に125人、2024年春には256人と倍増ペースで拡大。
当初の募集ポジションは、設備機器エンジニアや製造プロセスエンジニアなどの技術系職種が中心でしたが、IT・情報システム担当や品質管理、サプライチェーン管理、人事・総務といった事務系・管理系のポジションも幅広く採用が行われました。

2.第二工場の着工・稼働予定、採用ポジションに関して

すでに着工済、2028年の稼働を目指す

第二工場については、2024年2月6日にTSMCとJASMが正式に建設を発表しました。
2025年10月にTSMCが第二工場(fab24)の建設開始を発表、同年内に着工まで至っています。
稼働開始は2028年を予定しており、フル生産体制の整備は2029年12月に完了する計画です。

第二工場への投資額は約139億米ドル(1兆6900億円)が見込まれており、日本政府が最大7,320億円を補助する方針です。

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AIやスマートフォンに活用されている3nmプロセスの導入

第二工場では3nmプロセスの半導体を製造すると2026年2月に発表がありました。
第一工場では22/28nm・12/16nmプロセスを導入しておりますが、3nmプロセスはAIやスマートにフォンに活用されている最先端量産プロセスになります。
半導体は回路線幅が微細になるほどデータ処理能力や省電力性が向上すると言われているため、データセンターやAI、自動運転、次世代スマートフォン向けの需要拡大が期待されます。

現在の採用状況と募集ポジション

両工場合計で3,400人以上の雇用創出との情報もあります(2025年12月時点では2400名在籍)。
2025年度は527名、2026年4月には4期生として105名の新入社員が入社しており、新卒採用の規模は県内でも最大級となっています。

現在(2026年4月時点)もJASMでは活発に採用が行われており、設備機器エンジニア・製造プロセスエンジニアをはじめ、品質管理、物流・サプライチェーン、IT・デジタル関連のポジションが継続的に募集されています。
最新情報はリージョナルキャリア熊本の求人一覧をご確認ください。

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3.新生シリコンアイランド九州とは

60年に及ぶ九州の半導体産業史

九州の半導体産業の歴史は、「いざなぎ景気」が続く1967年頃に始まります。
三菱電機やNECなどの大手半導体メーカーが工場を立地し、1980年代には熊本・鹿児島・大分・長崎などに広がる半導体クラスターが形成されました。
その規模は当時、世界生産量の約10%を占めるほどで、米国の「シリコンバレー」にならって「シリコンアイランド」という呼称が定着しました。
しかしその後、日米貿易摩擦やアジア諸国の台頭などにより競争力を失い、長い停滞期が続きました。

TSMCの進出が火をつけた

そこに現れたのがTSMCです。2021年の熊本進出決定は、九州の半導体産業に大きな活気をもたらしました。

JASMの立地をきっかけに、ソニーグループの新工場計画、東京エレクトロンの開発棟建設、三菱電機のパワー半導体新工場など、関連企業が次々と熊本・九州への進出や拡張を表明しました。
経済産業省の調査では、JASM進出後に熊本県への進出・設備拡張を公表した企業はすでに86社に上っています。

九州経済調査協会の推計では、九州・沖縄・山口の半導体関連設備投資による経済波及効果は約23兆3,000億円に達するとされており、かつての「シリコンアイランド」が「新生シリコンアイランド」として息を吹き返しつつあることを示す数字となっています。

「新生シリコンアイランド」に向けた産官学連携

2024年1月には、肥後銀行など九州・沖縄の地方銀行11行が「新生シリコンアイランド九州」の実現と発展に向けた連携協定を締結。
金融機関が一体となって半導体産業を支える取り組みも進んでいます。さらに、九州半導体人材育成コンソーシアムが産官学42機関の連携のもと設立されており、人材の育成・確保という課題への対処も始まっています。

また、熊本県立大学は2027年4月に全国初となる「半導体学部(仮称)」を新設し、TSMC進出に伴う人材不足に対応。
入学定員は60人で、国内外の専門家を招致し、産学連携による実戦的な教育を目指しています。

熊本大学では2024年に工学部への半導体特化課程の設置や、データサイエンスを学べる「情報融合学環」を設立。
さらにはTSMCと連携協定を締結するなど、研究と人材育成を強化しています。

4.台湾の半導体産業史

肥後銀行で開催された映画「造山者」上映会

2026年4月12日(日)、熊本市中央区にある肥後銀行本店ビル2階の大会議室にて開催された、ドキュメンタリー映画「チップ・オデッセイ 台湾の賭け(原題:造山者)」の上映会に参加してきました。

主催は、熊本と台湾の交流事業を手がける「くま台湾Neo」と「ON-do」。
上映後には監督の蕭菊貞(シャオ・ジュイジェン)氏と、ジャーナリストの野嶋剛さん・林宏文さんによるトークセッションも行われました。

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映画「造山者」とはどんな作品か

この作品は、蕭菊貞監督が約5年の制作期間をかけ、台湾の半導体産業の発展に関わった80人以上へのインタビューをもとに完成させたドキュメンタリーです。

半世紀前の厳しい国際状況下で台湾政府と民間が力を合わせ、「半導体立国」を目指して動き出した人々の物語が描かれています。
TSMC創業者の張忠謀(モリス・チャン)氏も登場し、当時のリスクと決断が生々しく語られました。

ゼロからスタートした台湾の半導体産業は、今や世界のサプライチェーンに不可欠な存在となっています。
TSMCは現在も世界最先端の2nmプロセスを量産し、さらには1.4nmプロセスを2028年の量産に向け開発しています。
こうした技術力の礎を築いたのが、映画に登場する「造山者」たちです。

台湾の方々の半導体産業にかける強い意志や覚悟を感じられた映画であるとともに、TSMC・JASMで活躍できる人材とはどのような人なのか理解を深めることができました。
JASMの工場が立地する熊本だからこそ、この映画は台湾の歴史や文化、産業に関する理解が生まれ、特別な想いを感じさせてくれたのだと思います。

まとめ

JASMの第一工場が量産を開始し、第二工場の建設も本格的に始まった熊本。
九州全体で新生シリコンアイランドとしての再興が加速するなか、映画「造山者」が伝える台湾の半導体産業の歴史は、今まさに熊本が歩もうとしている道と重なって見えました。

今後もJASMや熊本の半導体産業の動向に注目していきたいと思います。

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