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その他2025.11.20

熊本半導体ニュース2025 TSMC・半導体関連企業の最新動向

こんにちは、リージョナルキャリア熊本のコンサルタント、桝永です。

今回は、半導体業界の今を整理してみました。

1.半導体業界の動向(世界・日本・熊本)
2.熊本における半導体業界に関わる人材育成・教育の動き
3.半導体集積地周辺の住環境
4.熊本の半導体企業の求人動向

1.半導体業界の動向(世界・日本・熊本)

2025年の半導体業界は、AI・データセンター向け需要に牽引され、世界市場では2年連続の2桁成長が見込まれています。
特にロジックICとメモリーICが成長を主導し、市場規模は初めて7,000億米ドルを超える可能性があります。
一方で、地政学的リスクなどの不透明要因も存在し、製品によって成長率に明暗が分かれます。

世界市場の状況

市場規模

世界半導体市場は、前年比約11.2%増の7,009億米ドルとなり、2年連続の2桁成長が見込まれています。

成長をけん引する分野

・ロジックIC:AIやデータセンター、先端電子機器向けに、前年比23.9%増の成長が見込まれています。

・メモリーIC:データセンター投資の拡大が追い風となり、前年比11.7%増の成長が予測されています。

成長が鈍化する分野

ディスクリート(単機能素子)やオプトエレクトロニクスなどの一部製品は、サプライチェーンの混乱や需要減退により、小幅な減少が見込まれています。

日本の状況

市場成長

円ベースでは、2024年の約7兆円から、2025年には約7兆1,764億円(1.4%増)への成長が見込まれています。

生産能力の拡大

・JASM(TSMC)の熊本工場第1期が2024年末から量産開始、第2工場の建設も27年末完成予定で着工スタートしています。

・レゾナックがパワー半導体向けSiCウエハーの生産建屋を2025年第3四半期に完成させるなど、新たな生産能力の拡大が進んでいます。

熊本の状況

半導体クラスターを形成

TSMCの熊本進出を機に、国内外の84社の半導体関連企業が続々と進出・増強。

設備投資が増加

JASM・東京エレクトロン九州・ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング社など多くの企業が工場・開発棟の新増設・増強計画を発表。

◇TSMC日本工場概要(JASM)

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かつて、九州は半導体産業が集積していることから「シリコンアイランド九州」と呼ばれていました。
1960年代以降、良質な水やインフラ、地の利などを背景に多くの半導体関連企業が進出し、1980年代に産業クラスターを形成しました。
近年、台湾のTSMC進出を契機に復活への期待が高まり、「新生シリコンアイランド」としてさらなる集積と発展を目指しています。

シリコンアイランド九州の歴史と特徴

集積の始まり
1960年代から1970年代にかけて、水や電力といったインフラが充実していた九州に大手半導体メーカーが工場を設立し始めました。

クラスター形成
1980年代には、部品メーカーや関連企業も集まる「クラスター」が形成され、「シリコンアイランド」と呼ばれるようになりました。

全国でのシェア
過去、九州は日本の半導体生産の中心地の一つであり、IC(集積回路)の生産額で全国の約4割を占めていました。

一時的な衰退
1990年代以降、国際的な競争激化などにより、九州の半導体生産額は減少傾向となりました。

TSMCの進出
2021年のTSMC熊本工場進出決定を皮切りに、半導体産業への大規模な設備投資が再び活発化しています。

「新生シリコンアイランド」
TSMCの工場稼働や新規投資の増加などを受け、九州の半導体産業は復活し、経済波及効果が期待されています。

「シリコンアイランド2.0」
新たなビジョンとして「新生シリコンアイランド2040」などが策定され、人材育成、サプライチェーンの強化、関連産業の育成などが進められています。

地域連携
九州の地方銀行が連携して地元企業の半導体産業への参入を支援するなど、産官学連携がさらに加速しています。

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2.熊本における半導体業界に関わる人材育成・教育の動き

熊本県の半導体産業の発展を支えるもう一つの柱が人材育成です。
企業の集積だけでなく、研究・教育の環境整備も本格化しています。

熊本大学では、2022年4月1日 に、半導体研究開発を推進し、産学官共同研究や国内外の研究機関・企業との連携強化に取り組むとともに、
社会的ニーズに応じた半導体分野の教育を受けた実践的な高度人材を輩出することを目的とする
「熊本大学大学院先端科学 研究部附属半導体研究教育センター」を設置。
2024年4月、国内の大学で初めてとなる、半導体技術者・研究者の育成に特化した学士課程「半導体デバイス工学課程」が創設されました。
さらに、同大学院は2025年4月に「半導体・情報数理専攻」を開設、学部から大学院まで一貫した半導体関連の教育体系が整備され始めています。

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熊本県立大学でも、2027年4月の開設を目指し、「半導体学部(仮称)・半導体学科(仮称)」の構想が進められています。
これにより、県内で学んだ学生が地元企業で活躍する、いわゆる「地元完結型人材育成」の仕組みが着実に整いつつあります。

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さらに、熊本県では、半導体産業を支える人材育成の一環として、地元企業と大学・教育機関の連携も進んでいます。
学生や若手技術者が"学びながら実務経験を積む仕組み"が整っており、地元で学び、地元で働くキャリアの選択肢が広がっています。

また、こうした人材育成の取り組みと連動して、県内では技術革新を促すイベントも開催予定です。
2026年2月には、熊本城ホールで「Kumamoto Semiconductor Venture Pitch 2025-2026」が初開催。
半導体分野のビジネスプランコンテストや学生アイデアコンテスト、基調講演・パネルディスカッションが行われます。

こうした「教育・研究+地域産業+起業支援」が連動する仕組みにより、
熊本県では半導体関連のキャリアを地元で築くという選択肢が、ますます現実味を帯びています。

3.半導体関連企業集積地周辺の住環境(菊陽町・大津町・合志市)

(地価)

・TSMCの熊本進出発表以降、周辺地域の地価は急上昇。
・大津町においては2023年→2024年にかけて地価上昇率は33% 以上上昇し、全国1位の上昇率となった。また、菊陽町については地価上昇率31%と全国2位の上昇率。現在も徐々に上昇している。

(TSMC周辺地区の人口推移)

・熊本県内人口は減少傾向であるものの、TSMC周辺地区は20年以上前より人口増加地域。
・TSMCの熊本進出発表以降、アパートや宅地造成、熊本県へ進出企業する企業の社宅など、現在建設中のものも多く、今後も人口増加は見込まれる。
・TSMC第2工場建設発表などを背景に、台湾企業も含めて熊本への進出企業が増加する可能性があり、人口増加は加速すると想定される。

(インフラ開発)

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※地方経済総合研究所HPより引用

課題となっている交通渋滞が解消される予定です。

菊陽町・大津町・合志市 は、近年、生活利便性が大きく向上しています。
商業施設の開業や道路インフラの整備、戸建て・マンションの開発が進み、「働く場所」だけでなく「暮らす場所」としての魅力も増しているエリアです。

また、弊社では交通アクセス、商業施設、子育て環境などを独自に調査し、実際にU・Iターン転職後の生活イメージがつかみやすいよう、現地の"住みやすさ"を詳細にまとめています。

住まい選びの情報収集の一つとして、以下の記事もあわせてご覧ください。

▶熊本県内「住み心地調査」~大津・菊陽町編~

▶熊本県内「住み心地調査」~合志編~

4.熊本の半導体企業の求人動向

半導体関連求人は少ないです(2025/11/20時点)。

JASM社は、採用予定数は充足し、現在はマネジメントポジションのみ。
その他、東京エレクトロン九州社は、AIエンジニアは積極採用中ですが、そのほかのポジションは良い人がいたら・・・とどちらかというと消極的。
ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング社は採用ストップ。平田機工は比較的、募集継続中です。

各社ともに、半導体業界の先行きや中国向けの輸出問題、ここ数年で大量採用による充足や弊害などもあり、採用基準はかなり上がっています。

26年4月以降の来年度に再開するのか?注目です。

半導体関連求人は →こちら

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この記事を書いた人

チーフコンサルタント 
桝永 健夫

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