地域情報ブログ

転職ノウハウ2022.07.15

【キャリアアップコラムVol.10】「フルリモート求人」で地方移住はありなのか?

こんにちは。リージョナルキャリア熊本のコンサルタント、桝永です。今回は「キャリアアップコラムvol.10」として、コロナ禍でよく見聞きするようになったフルリモート勤務に伴う地方への移住、またその現状と課題についてお伝えします。

キャリアアップコラムVol10 -小.jpg

熊本に帰る・・・熊本で働く・・・ための方法が、この2年でガラッと変わってしまった。

先日、ある候補者Aさんは、地元IT企業の内定を辞退し、某大手ITコンサルティングファームへの入社を決断されました。

地元IT企業のオファー年収は800万円、コロナ前はほとんど内定辞退をされてことがない企業。しかしながら、某大手ITコンサルティングファームの1000万円・フルリモート勤務の提示に太刀打ちできず、結果、今月、Aさんはフルリモート勤務のために熊本に移住されました。

これまで、熊本へのUターンを実現するには、現職に転勤をお願いするか転職するしかありませんでした。

地方への転職で最もネックとなるのが、求人のバリエーションと年収ダウン。しかし、コロナ禍により、リモートワークが急速に普及。人材不足に悩む、大都市圏の企業がリモート勤務OKという条件で、地方の人材を採用しようと動き出しています。

Uターン転職希望の方にとっては有効な選択肢です。また、諸事情あり、熊本でくすぶっている人が、熊本に住みながら、東京の仕事や待遇を得られることを魅力に感じる、ということも少なくないのではないでしょうか?

下記報道も記憶に新しいですよね・・・

◎NTTは今年7月から国内のどこでも自由に居住して勤務できる制度を導入する。主要7社の従業員の半分となる約3万人を原則テレワークの働き方とし、勤務場所は自宅やサテライトオフィスなどとする。出社が必要になった場合の交通費の支給上限は設けず、飛行機も利用できる。多様な働き方を認め、優秀な人材の獲得につなげる。

◎アクセンチュアは今年8月から、社員が国内のどこでも自由に居住できる制度を導入する。子育てや介護といった個人の事情にあわせて、柔軟に住む場所を選べるようになる。在宅勤務を前提とした多様な働き方を認めることで、優秀な人材の獲得につなげる狙いもある。

◎ディー・エヌ・エー(DeNA)は今年6月から国内のどこでも居住できる制度を始めた。飛行機や新幹線、フェリーなどでの遠隔地からの出社も可能になる。働き方を多様化し、自由度を高めることで人材獲得につなげる。

つまりこれらは「転職なき移住」という選択肢も出てきたということ。会社も、年収も変わることなく、暮らしたい街に移住できるのは、とても魅力的な話ですよね!

リモートワークにはメリット・デメリットがある。要は時流ではなく「軸」は何なのか?が重要。

弊社はコロナ禍でも、全社員出勤です。

PCと電話さえあれば作業はできます。ZOOMやteamsで商談も情報共有もできます。...でも、企業訪問しない人材紹介会社ってどう思いますか?

訪問したこともない、経営者にも会ったことがないような会社を紹介されたら不安ですよね?

企業側もほぼ訪問OKですし、訪問すると喜ばれます。経営者とのちょっとした雑談から新たなポジションが生まれ、マッチングに繋がることも多々あります。

弊社の場合は、この「雑談」がとても重要で、コンサルタント同士の雑談の中から色んな可能性が生まれてきます。

とはいえ、弊社ではコロナ前からリモートワークができる環境は整えています。でも、大切にしたい「」があるので、極力対面でのコミュニケーションを重視しています。

フルリモート求人への転職を否定しているわけではありませんが、私としては、オンボーディングや5年、10年後のキャリアプランが気がかりです。短期的には、年収面など希望を満たしているのでしょうが、地方への移住には「失敗の次」の選択肢がかなり限られますから、中長期視点も持ち合わせておかないと大変なことになります。

一般的に言われている、リモートワークのメリット・デメリットをまとめてみました。

【リモートワークのメリット】
・好きな時間に好きな場所で働ける
・移動時間を削減でき、通勤ストレスから解放される
・さまざまな働き方が可能になり生産性がアップする
・子育てや介護、配偶者の転勤などの理由で離職しなくてもよくなる

【リモートワークのデメリット】
・情報共有がうまくいかなくなり、作業効率や生産性が低下する可能性がある
・意思疎通が停滞する場合がある
・自己管理が難しい(運動不足も)
・上司が部下の評価をしにくくなる
・孤独感を感じやすい

などなど・・・

自己管理が苦手な方は、だらだらと仕事をしてしまい、オフィスに出勤していた時よりも長時間労働になってしまうかもしれません。また、自宅では緊張感を保てず、いいアイデアが出にくくなることも考えられます。

評価に関しても、勤務態度や努力が見えづらく成果しか評価できないでしょう。そうなると、上司が数字だけを追うようになり、部下をフォローする意識が低下する恐れもあります。そもそも相談できる相手が近くにいないため、小さな悩みを抱え込み、失敗を引きずってしまう・・・。

在職中の会社がリモートワークに変わる場合でも、上記のようなメリット・デメリットがあるのですから、フルリモートの会社に新たに入社する場合は、もっと大変なのでは?と感じてしまいます。

そもそも、数えるほどしか会ったことのない上司との関係構築は至難の業です。会社ごとの作法やカルチャーなどは身をもって体感できず、手探りで会社になじまなければなりません。

『これまでのコミュニティーを捨て、地方に移住したことで孤独感を感じる』『インプットの機会が少なくキャリアダウンしているのではないかと不安に感じる』...という、地方移住特有の悩みも加わります。

リモートワークにより、生産性や業績が上がっていればよいのでしょうが、業績が下がり始めたときに経営者はどのような判断を下すのか?など、こちらサイドではどうしようもできない事情もこれから出てくる可能性もありますよね・・・。

どの企業も手探り状態で進めているリモートワーク。時流でしょうが、後悔のないよう、自身の「」をしっかり見直すことが大切ではないでしょうか?

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この記事を書いた人

チーフコンサルタント 
桝永 健夫

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