「地域密着型」のデジタルソリューションを提供し、新たな価値を創造する。
九州デジタルソリューションズ株式会社
代表取締役社長 徳村 昌司
熊本学園大学卒。1982年、株式会社肥後銀行に入行。2009年 世安支店長、14年 業務統括部長などを歴任。17年 肥後銀行を退職後、肥銀ビジネス開発株式会社社長、18年 肥銀オフィスビジネス株式会社社長を経て、25年4月より九州デジタルソリューションズ代表取締役社長に就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。
地域に根差し、多角的に事業を展開。
九州デジタルソリューションズ株式会社(以下:KDS)は、九州フィナンシャルグループ株式会社(以下:KFG)の子会社として2022年に新たなスタートを切りました。
これまで当社は肥後銀行のグループ会社「株式会社肥銀コンピュータサービス」として、熊本県を中心に収納代行業務など金融分野に特化したシステム開発・運用を行ってきました。
現在は、主に四つの事業を展開しています。一つ目は銀行からの受託業務。基幹システムの保守・運用、システム開発など、金融機関に欠かせないITインフラを支えています。
二つ目が収納代行業務。これはプロパンガスや介護施設、学校給食費など、地域の生活インフラに関わる集金業務を代行するサービスで、KDSならではの地域密着型ビジネスとして、地域住民の生活を支える重要な役割を担っています。
三つ目がITソリューション事業。ここは特に力を入れている領域で、自治体や民間企業向けにDX推進を支援するコンサルティングやクラウド型システムの導入支援、サイバーセキュリティ対策など、幅広いニーズに対応しています。
また、学校徴収金管理システム「KDS学校会計クラウド」や内航海運向け船員勤怠管理サービス「Crewlog」、酒造会社向け受発注管理システム「くらモール」など特定業種向けのパッケージソフトを自社開発し、全国展開を進めています。
四つ目の事業として新たに取り組み始めたのがSES(システムエンジニアリングサービス)事業です。昨年8月に派遣事業の認可を取得し、クライアント先での常駐支援を開始しました。
これは、若手社員が実務経験を積む「武者修行」の場としても位置づけており、人材育成と事業拡大を両立する戦略的な取り組みです。まだ規模は大きくありませんが、将来的には事業の柱の一つとして育てていく方針です。
地域価値共創グループとして、地域経済のデジタル化を支援する。
私たちが目指すのはKFGが掲げる2030年ビジョン「地域価値共創グループ」としての役割を果たし、地域密着型のデジタルソリューションカンパニーとして成長していくことです。
まず、従来の銀行系IT業務や収納代行といった安定基盤を守りつつ、ITソリューション事業をさらに伸ばすことに主眼を置いています。
熊本・鹿児島に加えて九州全域へ展開し、地域ごとに異なる課題に即した提案を行います。特に自社開発製品は九州内にとどまらず全国展開へ視野を広げ、新たな収益源として育てていく構えです。
同時に、中小企業や自治体との連携強化により、地域経済のデジタル化を支える存在になりたいという想いを強く抱いています。
人材育成に力を入れ、社員と共に創造する未来の会社像。
この成長戦略を実現するには「人材育成」が鍵だと考えています。KFGが定める資格取得プログラムを通じて、専門性の高い人材を育てています。
SES事業においては若手社員を中心に外部企業での実務を経験することで、技術力と対応力の向上を図っています。この経験が将来的に自社内でのソリューション提案力や開発力の強化につながると考えているからです。
社員教育では、ひとり1資格運動やDX高度人材育成プログラム、Eラーニングの導入や外部研修機関との連携も強化しています。新卒社員に対しては、入社後3か月間のプログラミング集中研修を行い、基礎から実践までをしっかりと学び、着実に身につけられるようにしています。
また、DX推進に向けたデジタルイノベーション委員会をはじめ営業推進委員会、経費管理委員会、投資委員会といった委員会を社内に設置し、部門横断的な連携強化と迅速な意思決定体制の構築にも注力しています。
社員の当事者意識を醸成し、自ら考え行動できる人材に育ってくれると信じています。
グループ会社と連携し総合的なソリューションを提供する。
KDSの魅力は、若い力と銀行系ネットワークの融合による「地域密着」と「スピード感」にあります。
肥後銀行・鹿児島銀行と連携し、両行の取引先である地元企業をソリューションの対象としてアプローチできる点は大きな強みです。
両行の行員が日々経営者とお会いし、さまざまな経営相談をいただく中には、ITを導入することで売上拡大や業務の効率化に貢献できる事案が多くあるわけです。
地元企業や自治体のニーズを的確に把握し、きめ細やかなソリューションを提案する「地域密着型」のサービスが最大の強みであり、多くの顧客から厚い信頼を得ています。
DX支援においては、約5,000社の導入実績があります。単なるシステム導入にとどまらず、業務プロセスの見直しや改革まで踏み込むコンサルティングも手掛けています。
若手中心のSES事業で実務経験を積む武者修行的な育成スタイルも独自性ある取り組みで、社員の成長と事業拡大が両立できる点は魅力的だと感じています。
社内でもDX化を推進するとともに、組織としての一体感を醸成。
社内の業務効率向上にも積極的に取り組んでいます。管理会計システムやRPA導入、AI活用に加え、社内業務効率化の一環としてChatGPTを活用した取り組みも推進しています。
今後はプログラミング自動化など高度な分野へも展開予定です。また、働き方改革にも力を入れており、「ライトダウンDAY」などの施策でワークライフバランスの向上を図っています。
リモートワーク制度や柔軟な人事制度の整備を進めると同時に評価制度についても時代の変化に合わせてブラッシュアップを重ね、社員のモチベーションやキャリア形成を支援する体制づくりを進めています。
さらに、社内でのフラットな組織文化も特徴的です。飲み会やランチミーティングでの自由な意見交換など、上下関係にとらわれないコミュニケーションを重視することでボトムアップ型の組織が生まれてきていると思います。
社員の主体性を育み企業価値を向上させる。
ここ数年、新卒採用を続けてきたこともあり、社内には勢いある若手が多く、職場に活気を感じています。
この勢いを継続的な成長につなげるためには、やはり人材の成長が不可欠です。そのため、自ら考え行動できる自立型の人材を求めています。
即戦力のITエンジニア採用は継続しつつ、新卒社員の教育担当としての役割も期待しています。
指示待ちではなく、自分で発想し、実際に実行できる人材、そして時には「ちょっと変わった意見」を言えるような面白みのあるチャレンジができる人材を求めています。
まだまだ、技術力を高めていくためにも、人材の育成に力を入れ、社員全体の技術力向上と活躍を後押ししたいと考えています。