タイコーテクニクス株式会社
山田智也さん(仮名・生産管理) 37歳
子育てしやすい環境を求めて移住したら、自分の力が発揮できる職場にも出会えた。
以前は大手メーカーの生産管理部門で活躍していた山田さん。37歳で転職を考えるようになった理由は2つあった。いちばん大きかったのは、子育ての環境。頼れる人がいない名古屋での子育ては苦労が多く、配偶者の実家がある熊本への移住を考えるようになった。
もう1つは、仕事の閉塞感。当時勤めていた企業は安定している一方、仕事に対するモチベーションの維持が難しいと感じていたという。そこで、長男が小学校に入学するタイミングで熊本への移住を決断。前職より規模の小さい現在のメーカーに入社した。
「規模へのこだわりはまったくありませんでした。それよりも自分の力が発揮できるかどうかが大事と思います。そういう意味では現在の会社にはとても満足しています。」と笑顔を見せる山田さんは今、新天地で新たなチャレンジを楽しんでいる。
(※本記事の内容は、2022年1月取材時点の情報に基づき構成しています)
- 過去の
転職回数 - 1回
- 活動期間
- エントリーから内定まで100日間
転職前
- 業種
- 製造業
- 職種
- 生産管理
- 業務内容
- サプライヤーとの窓口業務や、生産調整
転職後
- 業種
- 製造業
- 職種
- 生産管理
- 業務内容
- 受発注の管理や、システム入力、生産品目の調整・決定
加工技術を向上させたいという社長のものづくりに対する情熱と将来のビジョンに共感。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
タイコーテクニクスは、熊本県合志市にある金属加工のメーカーです。アルミやステンレスなどの金属を機械加工して、主に半導体製造装置の部品を製造しています。私は生産管理部門に所属しており、受注管理や作業指示書の発行、材料発注といった加工着手までの生産を管理しています。
前職での経験から、加工着手までの管理が工場内の仕掛量を左右し、生産性に大きく影響を及ぼすと分かっているので、その管理は難しい反面やりがいもあります。
入社前のご経歴を教えてください。
私は福岡出身で、高校卒業後、熊本の大学・大学院に進学し、機械工学を学びました。卒業後は大手メーカーに就職し、名古屋にある拠点で4年間生産技術業務に従事しました。この間、CATIA V5を使ったNCプログラムの作成業務に取り組んでいました。
その後の7年間は、生産管理業務に従事していました。まず、最初の2年間はサプライヤー3社を担当。その後、あるプロジェクトの金属加工部品の生産取りまとめを3年間担当。そして最後の2年間は、所属していた事業所全体の生産調整業務を担当していました。
転職のきっかけは?
私が福岡出身、妻は熊本育ちなので、「いつかは九州に戻りたいね」という話をしていました。当初は漠然とした計画だったのですが、子どもが二人生まれてから、具体的に話し合うようになりました。私たちは共働きをしていたので、いざというときに頼れる人がいない名古屋での子育てはきついと感じるようになってきたんです。
それで、長男が小学校に上がるタイミングで、熊本に移住する決断をしました。夫婦ともに小学校時代に転校が多かったので、「子どもたちには同じ経験をさせたくない」という気持ちもありました。
転職することに迷いはありませんでしたか?
前の会社の待遇には不満はありませんでしたし、すごく悩みました。ただ、少しずつ会社や仕事に対する不満が積もってきていたことも感じていました。
近年は、事業所全体の部品の生産を調整する業務を担当していたのですが、本来の業務以外にも、資料作りやデータ分析など、さまざまな雑務に追われる日々で、「本当に会社のためになっているのか」「いつまでこんなことを続けるのか」といった疑問を感じ始めていました。その時から「自分に向いている仕事は何か」「本当にやりたい仕事は何か」を考え始め、家族にも相談し転職を決意しました。
転職活動はどのように進めましたか?
最初は大手の転職サイトに登録し、名古屋在住のエージェントに相談していたのですが、そのエージェントは、熊本の会社について掲載されている内容以上のことは把握できていませんでした。書類選考で落ちても、その理由がよく分からず、なかなか前に進めない状況が続きました。
そこで他の転職サイトも試してみようと思い、インターネットで探していたところ、「リージョナルキャリア熊本」を見つけたんです。早速エントリーして面談をしてもらうと、前職の経験を活かせそうな3社を紹介してもらうことができました。内定も、3社すべてからいただくことができました。
その過程で、リージョナルキャリア熊本は地場企業に精通しているなということを強く感じました。会社の中身をよくわかったうえで、私に合う会社を紹介してくれていることが伝わってきましたし、紹介してくれた会社の中には大手求人サイトには載っていないところもありました。
今の会社に決めたポイントは?
社長の考えにすごく共感できたことです。自分の会社だけを成長させるのではなく、「熊本全体の加工技術を向上させていきたいんだ!」という思いや、今メインで加工している半導体製造装置部品以外も受注していきたいという将来のビジョンにも魅力を感じました。
そのビジョンの実現や半導体製造装置部品の増産対応に生産管理の強化が求められている状況だったので、私のこれまでの経験が必要とされていることを強く感じました。この会社なら自分の力が発揮できると考え、入社を決めました。
変化に抵抗がなくチャレンジしやすい環境の職場に感謝。休日は阿蘇の雄大な景色に感動!
転職していかがですか?
前職と同じ製造業とはいえ、意味は同じでも異なる単語があったり、最初は戸惑いを感じましたね。また、生産管理の方法も異なる点が多く苦労しましたが、同僚が親切にサポートしてくれたので助かりました。
また、社員数が少なく少数精鋭なので主体性が求められますが、変化を嫌がらない社風があります。例えば、私が前職の経験から「こうしたらどうかな?」と提案し、それが合理的であれば「すぐにやってみましょう!」と言ってくれるんです。それがすごく新鮮でしたし、社長含めみんな前向きに仕事していると感じています。
転職して良かったと思うことは?
意思決定プロセスが早くなったことです。大企業のように関係者での会議、計画書の作成・承認などを経ての意思決定ではなく、社長含め関係者数人での調整で合理的であれば即実行に移せるので、とてもスピーディーに仕事ができます。
困っていることや課題はありますか?
部品の増産対応が大きな課題です。現在、半導体製造装置業界は特需で、今後も増産が見込まれます。設備投資の計画はありますが、それまでは限られたリソースで増え続ける注文にどう対応していくか、みんなで試行錯誤しているところです。
生活面の変化はありましたか?
熊本で暮らすのは大学以来でしたが、やっぱり落ち着きます。食べ物もおいしいですし、なにより近くに親戚がいるので安心感があり、子育てもしやすい環境だと感じています。福岡にある私の実家にも、何かあればすぐに帰れるようになったので両親も喜んでいます。
実は今、単身赴任中なんです。妻が来年3月まで今の職場で働くので、まだ子どもたちと一緒に名古屋にいます。仕事と子育てを頑張ってくれている妻には、本当に頭の下がる思いです。
私はひと足先に熊本に来て、妻の実家近くのアパートで1人暮らしをしているので、土日は自分の時間を満喫させてもらっています。登山やサイクリングが趣味で、よく阿蘇方面に行っています。先日も南阿蘇外輪山を2日かけて縦走してきました。妻もアウトドアが好きなので、早く家族で阿蘇に行きたいと思っています。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
家族がいる人にとって、転職は勇気のいる決断だと思います。特に大手企業から地方の中小企業に転職するとなると、ほぼ収入が下がりますし、生活水準も見直さないといけません。
でも、転職を考えているということは、今の仕事内容や待遇、その土地での生活などに不満があるということです。一旦その気持ちを整理して、一人で悩むのではなく家族や友人、同僚に相談してみてはどうかと思います。
私の場合は、まず妻に相談しました。熊本の企業への転職後は収入が減ることを想定していたので、転職後のライフプランを作成し、妻と共有しました。そこで「これならやっていけるね」と納得してもらっていたので、迷いなく転職活動ができました。
それから、転職サイトや紹介会社には、それぞれの特色があります。大手ならキャリアアップにつながるような求人が得意でしょうし、リージョナルキャリア熊本のような地方の紹介会社は地場企業の求人にとても強いです。それぞれの特色を把握した上で活用すれば、希望に沿った転職先は早く見つかると思います。