独自の流通システムや低価格戦略で生花業界を牽引していく。
株式会社ビューティカダンホールディングス
代表取締役社長 舛田 正一
1970年熊本市生まれ。熊本工業高校卒業後、大阪の機械メーカーに就職。1990年熊本にUターンし、ビューティ花壇入社。2007年9月 取締役、2010年9月 常務取締役、2012年9月 専務取締役、2013年10月 マイ・サクセス株式会社取締役、2016年2月 株式会社アグリフラワー代表取締役社長、株式会社SHF取締役を経て2020年9月 株式会社ビューティカダンホールディングス代表取締役社長に就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。
「花を通して儀礼文化の継承に役立ちたい」――業界を牽引し、さらなる拡大へ。
葬儀関連の会社に生花祭壇や供花を提供する「生花祭壇事業」、結婚式場を対象に婚礼用の生花商品を制作・設営する「ブライダル装花事業」、各部門で必要な生花の仕入れと小売店への生花販売を手がける「生花卸売事業」の三つの事業をメインに、葬儀関連会社向けのシステム開発、花卉生産のための農場経営、就労支援事業などさまざまな業務を手がけています。
コア事業である「生花祭壇事業」「生花卸売事業」「ブライダル装花事業」では売上拡大を目指し、営業所の新設によるエリア展開や、天候や為替相場に左右されない国産生花の安定供給を目的とした熊本県八代市の農地取得・菊の生産をスタートさせるなど、さまざまなチャレンジをしています。
新サービスとしては、オンライン葬儀「@葬儀(アットそうぎ)」に遺影サービスを追加リリース。資本提携した株式会社goennと開発した納骨堂化アプリ「musuhi(むすひ)」 を24年4月にリリースしました。
またAI・IoT事業への参入や、葬儀業界向けのクラウドプラットフォームも提供開始。2024年9月にはサクラマチクマモト内のKOKO HOTEL Premier熊本に「花屋がプロデュースするレストラン」として、「THE MOMENT」がオープンしました。
「生花」を通して人に、地域に、社会に貢献していく。
国内における葬儀件数については横ばいですが、葬儀単価は下げ止まり、葬儀事業者の売上高は増加傾向で推移しています。一方、ブライダルは少子化による件数減少や規模縮小など楽観視はできません。
また、私たちの取引先である葬儀社・JA・生花店・小売店なども、景気の影響や人手不足・原価高騰などで厳しい経営状態にあります。経営が厳しい店舗についてはM&Aなど経営支援の提案を行ったり、仕入れ先の閉店で困っている葬儀社さんがあれば、その地域への新規出店も検討します。
花の安定供給のために農園運営も行っています。自社栽培を始めてから約8年になりますが、自社で使用する菊はほぼカバーできるまでになりました。一方、高齢化・後継者不足、原材料の高騰など、農家を取り巻く環境は厳しく、廃業を考えられている方も多くいらっしゃいます。
当社では、そんな農家さんに対して花の栽培に関するノウハウを提供し、人的サポートや年間契約による買取といった支援も行っています。生花業界唯一の東証スタンダード上場企業として、業界や地域を守ることも当社の使命だと考えているからです。
「生花」でつながる“ご縁”を大切に、人に、地域に、社会に貢献していきたい。目先の売上や利益ではなく、長期スパンで見ていくことが大切だと考えています。輸入もしつつ、自社農園・契約農園を増やすことで生花の大量仕入れを行って独自の流通システムを強化し、効率を上げながら花の原価率を安定させていく。
そうして低価格戦略を実現し、業務提携やM&Aを行いながらパートナーシップを深めていく。一つひとつ取り組みながらグループ全体でシェアを拡大し、収益力を高め、企業価値を上げていきます。
ホールディングス化でシェアを拡大し、グループ全体で収益力を高める。
2024年1月1日付で「株式会社ビューティカダンホールディングス」へ社名変更、持株会社体制へ移行しました。これにより業容拡大と企業価値向上、グループ10社の連携、経営責任の明確化、次世代経営人材の育成などを実現していきます。
また、今年度より新たな中期経営計画もスタート。重点戦略として「経営基盤の強化」「各事業の売上拡大、グループ収益力の強化」「サステナビリティ経営の推進と企業価値向上」を掲げています。
一つ目の経営基盤の強化ですが、具体的にはグループ資金を効率よく活用して注力事業やM&A資金として積極的に投下し、グループ全体の成長につなげます。また、人的資本の価値向上に向け、キャリア階層の設計や昇進基準の透明化、モチベーション向上につながる新たな報酬制度などを検討しています。
さらに採用ブランディングの強化、各ターゲットに合わせた採用戦略に基づき新卒・中途採用も強化します。DX推進による業務効率化も必須で、Web受注システムの開発、CRMと連携した生花祭壇の施行情報の集約化などにより、人員の効率化と社員のスキル平準化を図ります。
二つ目の重点戦略に関しては、提携先であるマイクロウェーブ社の提供でサービス拡充を続ける「@葬儀」を通じた生花祭壇事業における新規取引先拡大と既存顧客の売上維持を目指しています。
また、提携先goenn社が開発する納骨堂化アプリ、参拝管理アプリを通じ、生花など自社商品の販売増とWebマーケティング事業領域強化、自社ブランディングの向上によって各事業の売上拡大、グループ収益力の強化に取り組みます。
三つ目の「サステナビリティ経営の推進と企業価値向上」では、環境配慮型商品・サービス、脱炭素化等SDGsの取り組みを推進します。環境負荷軽減を目的とし、廃棄している生花類の利活用、ゴミ類やCO2削減など、大学や民間企業と連携し、具体的な取り組みスキームの策定や実現に向けた研究・協議を進めている段階です。
若手にチャンス。責任と権限を与え、管理職・経営者を育てていく。
私は会社としての方針を示し、ブランディングまで行うものの、細かいことは言わず、ある程度の責任と権限を与えて現場に任せるようにしています。そういった経験を通じて自主性も強くなるので、思いっきりチャレンジして成長してほしいと考えています。
これまでは、事業ごと・地域ごとに会社が分かれていて、採用や育成は各社で行っていました。これからは社員一人ひとりのライフスタイル・人生設計に応じて、グループ企業間の異動も可能にします。
例えば、生花祭壇づくりの経験を積んだ社員が「花の栽培をしてみたい」とアグリフラワーに異動して農園運営を手がけたり、ビューティ花壇東日本に入社した社員が結婚や親の介護などライフスタイルの変化によりビューティ花壇西日本に異動したり、といったケースも柔軟に対応していきます。
既存事業の拡大、新規事業や新サービスへの挑戦、役職や経営者などポジションへの挑戦は大歓迎。皆の活躍がとても楽しみです。グループ全体を見れば多種多様な仕事、ポジションがあり、活躍の場は豊富なので積極的にチャレンジしてほしいと考えています。
キャリアアップを支援していくため、組織づくりや制度整備も進めています。社員一人ひとりの可能性や将来性、夢や目標にしっかり応えていくので、安心してチャレンジしてください。
「ありがとう」があふれる仕事を手がけるしあわせ。
私自身、未経験からの中途入社です。そこからチームを任され、いろいろな部署を経験し、2020年9月に社長に就任しました。花の名前も、活ける技術も祭壇づくりも、先輩たちに一から教えてもらい、少しずつできるようになっていきました。
初めて祭壇づくりを任された時のこと。葬儀社の担当者でもない、一花業者の私のところにご家族がいらして「ありがとう」と感謝のお言葉をいただきました。本当に嬉しくて、この時のご家族の顔は今も忘れられません。
花を通して人の心に寄り添い、笑顔にする。それが私たちの仕事です。「ほんとうにいい仕事だなぁ」という気持ちは、当時も今も変わりません。そんな想いややりがいを共有しながら、皆で成長していきたいです。