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金融サービスの深化と地域価値共創事業の探索で九州の発展を担う。

株式会社九州フィナンシャルグループ
執行役員/人事・総務部長 縄田 聡子

更新日:2024年10月16日

1969年2月熊本県熊本市生まれ。熊本県立大学卒業後、1991年4月株式会社肥後銀行入行。2015年6月株式会社肥後銀行 総務部総務・企画グループ企画役、2019年10月株式会社九州フィナンシャルグループ 広報・IR部長就任。2021年4月株式会社肥後銀行 総務部長就任。2022年4月株式会社肥後銀行 阿蘇ブロック統括店長兼宮地支店長、2023年4月株式会社九州フィナンシャルグループ 執行役員 人事・総務部長就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

金融サービスの深化と地域価値共創事業の探索で過去最高益を更新。

九州フィナンシャルグループ(以下KFG)は、肥後銀行と鹿児島銀行が経営統合し、銀行持株会社として2015年に誕生しました。経営基盤が盤石な健全行である熊本県と鹿児島県のトップバンクの統合は全国的にも注目されましたが、これは10年~20年先を見据えた取り組みでした。

KFG設立後、第1次グループ中期経営計画「協働」をスタートさせました。少子高齢化による市場の縮小とともにデジタル化社会への移行が進む中で、KFGは地元を支える地域金融機関としてその発展を担うべく、地域密着型金融モデルの経営基盤を構築しました。

2018年には九州FG証券がグループに加わり、総合金融グループとしての基盤を整備し、第2次グループ中期経営計画「融合」がスタート。地域のお客さまに最適かつ最良のサービスを提供するために、グループシナジーの最大化に着手しました。

そして2021年4月より、2030年を見据えた「共創ビジョン」として「お客様、地域、社員とともにより良い未来を創造する『地域価値共創グループ』への進化」を掲げ、第3次グループ中期経営計画「改革」がスタートしました。

KFGが有する「総合的な金融サービスのさらなる深化」とともに、地域とKFGのより良い未来を創造する「地域価値共創事業の探索」という両輪で取り組むことで収益は拡大。2024年3月期の経常収益は2,225億円(前年比81億円の増加)、当期純利益は前年度比17億円増の263億円となり、過去最高益(統合初年度の特殊要因を除く)を記録しました。

また、グループKPIにおいても最終年度目標を上回るなど、第3次グループ中期経営計画は実を結んでいきました。

最高益へと導いた「改革」の数々の取り組み。

「金融サービスの深化」においては、TSMC(台湾積体電路製造股份有限公司)の進出が大きなインパクトとなりました。

2022年1月肥後銀行で発足した半導体プロジェクトチームを、2023年4月には「半導体クラスター推進室」へと昇格させ、TSMCだけでなく九州に進出する半導体関連企業への直接的な金融支援から、住宅や宿泊施設の建設など付随する支援まで幅を広げました。

その結果、TSMC関連の融資実績は、2024年3月末時点で約1,450億円まで拡大。2022年7月には、肥後銀行と鹿児島銀行で台湾の玉山商業銀行との業務提携を行い、双方が持つネットワークやノウハウを活用した経済交流もスタートしています。

これら取り組みは、地域の産業・科学技術の成長、教育・文化の向上といった地域の価値を高め、最終的には地元事業者の自律的な成長、九州全体の経済効果の活性化につながります。特需のような一時的な利益だけを追うのではなく、長期にわたり発展していけるよう、今後も継続的に支援を続けていきます。

「地域価値共創事業の探索」においても幅広い取り組みを行い、大きく成長しています。例えば、「資金はあるが人材が不足している」というお客さまには、グループ会社の肥銀オフィスビジネス株式会社が人材紹介や派遣などのサービスを提供できます。

2022年7月に業務を開始した九州みらいインベストメンツ株式会社では、アセットマネジメント業務を手がけ、初年度から黒字化を達成しています。

そして、お問い合わせが急増しているデジタル投資やDX推進に関しては、グループ会社である九州デジタルソリューションズ株式会社が担い、顧客ごとに異なる環境・ニーズにきめ細やかに対応し、事業運営・職場環境の改革の支援を行っています。

2023年4月には、地域商社の役割を果たすべく、地域事業者の国内・海外販路の拡大支援を担う株式会社九州みらいCreationを設立。ECサイト「よかもーる」を立ち上げ、中九州・南九州の海の幸・山の幸・工芸品といった地元の特産物を販売しています。

2024年3月時点で88社303商品を取り扱っており、今後も地元の優れた商品を増やしながら、国内そして世界に発信して収益性を高めていきます。

その地域にどんな金融機関があるかで、その地域の未来が変わる。「意志のある未来」へ。

2024年4月、「地域価値共創グループ」への進化を目指し、第4次グループ中期経営計画「躍進」がスタートしました。コロナ禍も明け、景気の回復傾向とともに「協働」「融合」「改革」による成果、TMSC進出による地域経済の拡大をふまえ、「地域価値共創事業」のグループ連結当期純利益目標を当初の400億円から500億円へと上方修正しています。

この高い目標を掲げた背景には、「成り行きの未来」から「意志のある未来」を切り拓いていこうという強い志があります。景気が回復基調とはいえ、金融業、その中でも地方銀行を取り巻く環境は決して甘いものではありません。出生率の低下、少子高齢化、地方経済の縮小や長引く超低金利政策など、課題は山積しています。

しかし、私たちは「日本は地方にこそ可能性がある」と考えています。KFGの地元、熊本・鹿児島には豊かな自然、文化、人の心の温かさがあり、東京などの大都市圏と比べ、お金には換算できない価値と無限の可能性があると考えています。

厳しい環境に嘆いて何もしなければ、地方経済は確実に衰退していく、それは「成り行きの未来」です。それに対し、KFGが目指すのは「意志のある未来」です。例えば、人口が少なければ、それだけ環境負荷の低い社会を築けますし、DX化で補うことも可能です。

新たな産業を創生できれば、街・地域が活性化し、生活水準を保ちながら暮らせるでしょう。豊かな自然と暮らしやすい環境、そして仕事が整えば、そこに魅力を感じた人が移住し、人口減少という課題も解決できるでしょう。

そこで私たちは、「意志のある未来」の創造に向け、「事業承継・M&A」「人材・ビジネスマッチング」「DXソリューション」「SDGs・脱炭素化」「IPO」「ECモール・海外ビジネス」「スタートアップ」と7つの柱を設け、支援を展開していきます。

その地域にどんな金融機関があるかで、その地域の未来が変わる。KFG全体で「未来をつくる地域価値提供の取り組み」を加速させていきます。

ブレない信念と社員ひとり一人を重視し、大切にする経営。

KFGでは、仕事をする上で「自分の存在意義(パーパス)」を明確にし、大切にしています。「その地域にどんな金融機関があるかで、その地域の未来が変わる」という言葉を社長の笠原も常に発信していますが、私たちの仕事は地域を発展させること。民間企業なので、何をするにしても収益は当然意識しますが、目先の数字ばかり追求したのでは意味がありません。

「私たちは、お客さまや地域の皆さまとともに、お客さまの資産や事業、地域の産業や自然・文化を育て、守り、引き継ぐことで、地域の未来を創造していくために存在している」ということを社長はじめ全員が語り継ぎ、心に刻み、業務に取り組んでいます。1本筋の通った信念・行動指針があれば、どの部門・仕事においても「『地域価値共創グループ』への進化」につながっていくはずです。

そして、社員ひとり一人を重視し、やる気を高め、大切にする経営を実践しています。そのひとつが「現場重視のチームワーク経営」です。現場に近いほど強い組織でなければならないという考えのもと、現場が自律的に動き、権限を持って取り組める風土です。

また、スキル・キャリアを磨き続けられるよう、教育研修への投資を充実させ、業務に関わる研修から自己啓発研修まで多彩に取り揃えています。定期的な座談会や社長との対話会も開催しており、昨年は1回約10人×18回の開催で180人の行員が直に社長と意見交換しました。

このほか、動画配信にも力を入れており、肥後銀行内にテレビ局を開設して社内外に向けてニュース配信を行っています。動画は文書だけの通達に比べ、考えや情報が正しく伝わることがわかり、グループ内にも取り入れようとKFG本社内にスタジオを新設しました。

年頭挨拶、中期経営計画会議や支店長会議などの収録・配信も行い、スピーディーな情報発信やコミュニケーションツールとして活用されています。

多様性の尊重とはたらきがいの向上へ。安心して未来を描く。

一人ひとりが活躍できるステージを用意するとともに、待遇の改善、働き方改革、健康経営と、安心して未来を描ける環境を整えています。

待遇面では、物価上昇など社会状況への対応、従業員のエンゲージメント向上、優秀な人材を確保していくために定期昇給およびベースアップを行っています。2024年度は5%以上の賃上げとなりました。このほか、ファイナンシャル・ウェルネスに向けた取り組みとして、従業員持株会制度や選択型 DC、財形貯蓄制度なども用意。生産性向上に向けた時差勤務制度や健康維持のためのインターバル勤務、テレワークの体制も整備しました。

また、有給休暇促進により2023年度平均有給休暇取得日数は15日以上となりました。健康増進に向けては、健康診断・人間ドック費用補助やメンタルヘルスケアへの取り組みも行っています。そして、女性の活躍推進にも力を入れています。結婚し、子どもを持っても安心して働けるよう、肥後銀行と鹿児島銀行では事業所内に保育園を設置。次世代育成支援対策推進法に基づく子育てサポート企業として「プラチナくるみん」に認定されました。

また、不安なく育休を取得し、復帰できるよう育休者懇談会なども開催しています。現在、女性管理職比率は肥後銀行で14.9%、鹿児島銀行で10.5%。女性リーダー候補者の計画的な育成・異動・配置を行うことで、比率は年々アップしており、実際にグループ内で女性社長も誕生しています。

多様化する個人の価値観、ライフスタイルの変化に対応するため、一人ひとりが主体的にキャリアパスを描ける、そんな環境を今後も提供していきます。

専門性を活かせる、多種多様なポジションがある。

KFGでは専門性の高い人材を求めています。金融やDX、セキュリティに関わる業務の経験があり、金融業界で活躍したい方はもちろん大歓迎ですし、リスク管理、事業企画、広報、人事などの専門的な知識や経験をお持ちであれば、金融業界経験については問いません。

グループの中に多彩な業務・ポジションがあるので、専門性・スキルを活かせる場が必ずあります。地域の発展を担う手ごたえを感じながらキャリアを磨き、活躍し続けていただきたいと考えています。

編集後記

チーフコンサルタント
田尻 由美子

金融というと、お堅いイメージがあるかもしれませんが、一人ひとりが高い専門性とスキルを持って取り組む一方で、若手が多く活躍し、とても和やかな雰囲気のある九州フィナンシャルグループ。

執行役員の縄田さんがフロアに顔を出すと、皆が「縄田さん!」と声をかけ、それに笑顔で応える。そんな光景を見て、社長はじめ役職に関わらず、日ごろからコミュニケーションが活発に行われ、風通しのよい風土であることが伝わってきました。

一人ひとりの成長を何より大切にし、活躍のステージをつくり、待遇・福利厚生も常に改善・改革が行われているとのこと。「金融サービスの深化」と「地域価値共創事業の探索」の両輪で、さまざまな挑戦を続けるKFG。九州の発展、KFGのさらなる展開が楽しみです。

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