企業TOPインタビュー

多彩な事業によるシナジーの最大化で、真の熊本貢献企業を目指す。

九州産業交通ホールディングス株式会社
代表取締役社長 岩間 雄二

更新日:2024年7月31日

1971年1月 神奈川県川崎市生まれ
1992年4月 株式会社エイチ・アイ・エス 入社
2009年8月 株式会社欧州エキスプレス 代表取締役社長
2019年1月 H.I.S.ホテルホールディングス株式会社 代表取締役社長
2021年4月 九州産業交通ホールディングス株式会社 取締役副社長
2023年10月 九州産業交通ホールディングス株式会社 代表取締役社長
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

熊本に生まれ、熊本の発展のために取り組む。新たな挑戦が始まる。

「熊本の産業振興会社になる」という理念のもと1942年に創業した九州産業交通株式会社は、交通・観光事業を展開しながら、2005年にHISグループの傘下となりました。2006年からは持株会社体制に移行し、交通事業・観光事業から飲食・物販、不動産といった事業へ枝葉を広げて熊本の発展と人々の暮らしを支えてきました。

2016年の熊本地震や2019年からのコロナ禍など厳しい時期もありましたが、人々の動きが徐々に戻るにつれ、グループ全体の売上高も順調に回復し、2023年9月期には216億円となりました。

特に、2019年に開業した「SAKURA MACHI Kumamoto」は毎月100万~110万人のお客様にご利用いただき、賑わいをみせています。また、インバウンドの増加によって高速・貸切バス・観光事業も堅調に伸びています。さらに、TSMC社の進出により、企業のバス送迎も増便しています。

現在、九州産交グループは11社で事業運営を行っていますが、横の連携を強化し、それぞれが持つ強みや資産を活用することで新たなシナジーを生み出し、熊本に貢献していきたいと考えています。そのために、様々な取り組みをスタートさせています。

広い視野での新たな取り組み。熊本の交通・人流を活性化するバス事業。

インバウンドによる高速バス・貸切バスが大きく伸びる一方で、熊本都市圏における路線バスもコロナ禍前の水準までほぼ回復しています。しかし、熊本市を除くとまだ完全な回復とはいえない状況です。人口分布の問題もありますが、利便性を高めて活性化していくためにどうすべきか、取り組んでいるところです。

バス事業における新たな取り組みのひとつに「五社共同経営」があります。これは熊本市内の交通を活性化するために誕生した経営体で、熊本都市バス、九州産交バス、産交バス、熊本電気鉄道、熊本バスの5社が共同で取り組んでいるプロジェクトです。

2021年4月からは、重複する4路線の最適化を実施し、対象区域内一律180円という均一料金の設定や、共通利用定期券の導入などを行っています。これにより利便性が向上し、利用者のニーズに応えるとともに、運転士不足や路線バスの赤字運行といった各社の課題解消にもつながっています。

また、交通の利便性を高め、都心部の交通渋滞を緩和する目的で「パーク&バスライド」にも取り組んでいます。これは、自宅から離れた都心部へ車で行く場合などに、車を郊外の「バス停」に設けた駐車場に停め、そこから路線バスや高速バスなどの公共交通機関に乗り換えて目的地へ行くという仕組みです。

この取り組みは、渋滞の緩和だけでなく、排気ガスによる大気汚染の軽減や二酸化炭素排出量の削減にもつながることを期待しています。

大切に守るべきもの。進化するもの。熊本の発展を担うSAKURA MACHI Kumamoto。

熊本交通センター跡地に誕生した「SAKURA MACHI Kumamoto」は開業から5年目を迎え、2023年度は1,300万人の来場者数を記録し、月あたり100万~110万人のお客様が安定的にご来店いただいています。

服飾雑貨から飲食店まで幅広いテナントにご出店いただいていますが、中でも熊本ラーメンの有名店である黒亭さん、富喜製麺さん、味千×桂花さんが揃ったのは大きいですね。市内各所に点在していた店舗に足を運ぶことなく、SAKURA MACHI Kumamotoの1か所で楽しめるため、熊本県外や海外からのお客様も増え続けています。

屋内・屋外のスペースを活用したイベントも多数企画・開催しており、2023年3月に開催したバンダイナムコさんのIPキャラクターを使ったイベントでは、北海道から沖縄まで全国から足を運んでいただき、ショップにも約1万人のお客様が来店しました。

また、保護犬・保護猫の譲渡会「ジョートフル」も毎年恒例のイベントとなり、毎回多くのお客様にご利用いただいています。開業から5年を迎え、改めて原点に立ち返りながら、お客様が本当に求めている場所づくりを追求していきます。

SAKURA MACHI Kumamotoが誕生する以前の熊本交通センターは、誰もが気取らず毎日立ち寄り、地域の方々から愛されてきた場所でした。そのあたたかい雰囲気を大切にしつつ、新しい発見や感動、ワクワクできる場所にしていきたいと考えています。今後は様々な企業やアーティストとコラボし、これまで福岡や東京に行かないと見ることができなかったアートイベントなども企画していきます。

バスターミナルであり、観光拠点であり、地元熊本の人々が気軽に立ち寄れる商業施設であるSAKURA MACHI Kumamoto。併設する熊本城ホールや地域の商店街とも連携しながら、熊本を盛り上げていきます。

熊本でしか味わえない感動、魅力あふれる観光スポットを発信。

観光事業ではインバウンドが圧倒的に伸びており、海外のお客様だけで高速バス・貸切バスが満席になるほどです。この状態は今後も続くでしょう。バス事業においても、TSMC社の企業送迎をお手伝いしていますが、第二工場が完成し稼働が開始すると、地域の経済が押し上げられ、法人ツアー・団体ツアーなども拡大すると見込んでいます。

国内の個人旅行では、拡大とまではいえないものの、日帰りバスツアーや一泊二日のバスツアーは堅調に増えています。観光スポットを巡るツアーだけでなく、ペットと一緒に行けるツアーなど、確実に存在するニーズを探り、オリジナルの企画も展開していきます。

熊本空港についても、利用者数増加・航路の拡大が進んでおり、全国からのお客様を迎えつつ、熊本発のツアーも北海道をはじめとして拡大していきたいと考えています。

私はもともと神奈川出身で、全国各地で仕事をしてきたので特に感じますが、熊本は自然が豊かで、ここにしかない美しいスポットがたくさんあります。例えば、清和高原や阿蘇の草千里あたりまで行くと、天の川や人工衛星が動いている姿まで見えるんです。これは熊本にしかない財産です。この素晴らしい熊本を伝え、多くのお客様に来てほしいと思っています。

今、旅行はほとんどの方がネットで検索・予約をする時代ですが、情報があふれすぎていて自分に合うものがわからないという方や、地元の人しか知らない素敵なスポットを探している方、じっくり旅行のプランを検討したいけれど時間を割けないという方が増えているのも現状です。

旅行代理店各社がカウンターを削減する中、当社はあえてSAKURA MACHI Kumamotoに旅行カウンターを設置しました。旅行の相談をしたかったお客様には大変喜んでいただいています。

また、旅行情報誌「九州おとなの旅日和」を発行しました。地元の人がオススメする熊本の素晴らしいスポットや、当社ならではの情報をご紹介しています。発行にあたり、「いまどき紙メディアはどうだろう?」という意見もありましたが、空港・サービスエリア・商業施設に設置することで多くの方に手に取っていただき、ここからの予約も増え始めています。

熊本にしかない優れた商品をPRし、流通させ、熊本を元気にしていく。

飲食・物販事業を営む九州産交リテールでは、「KUMATOKU(くまトク)」というECサイトを立ち上げ、熊本でつくられている美味しい食品を中心に、工芸品・雑貨品、くまモングッズなど、現在544点の商品を取り扱っています。

このECサイトの特徴は、銘菓や地酒など熊本を代表する特産品を一つから注文できるという点です。商品の種類やサイズに関係なく組み合わせも自由で、同じ商品でもメーカーが違うものを一つずつ購入して食べ比べることもできます。また、「地酒と一緒に美味しそうだからこの商品を試しに一つ買ってみよう」といった細かなニーズにもお応えしています。

この独自の仕組みを支えているのは、路線バスによる貨客混載です。注文が入ると、熊本県内各地の生産者や製造業者にタイムリーに発注が届きます。注文の商品を最寄りのバス営業所まで持ってきていただき、バスはそれを受け取って桜町の流通部門に届けます。そこで注文に合わせてまとめて梱包し、発送するという仕組みです。

シナジーの最大化を図り、熊本に貢献していく。ひとり一人のチャレンジが重要なカギ。

現在、社内で求めているのは「シナジーの最大化」です。私たちは交通、観光、飲食、物販、不動産と幅広い事業を展開していますが、それぞれが築いてきたノウハウや強みといった資産を横断的に連携させ、グループ全体で新たなサービスや仕組みを生み出し、熊本に貢献することを目指しています。

この取り組みは「産交オンリーワンプロジェクト」として進められており、各社・各事業間で情報共有や定例会などを行っています。そして、バス事業と観光事業の連携、くまトクの路線バスを活用した貨客混載、バス事業とSAKURA MACHI Kumamotoとの協働による体験乗車イベントなど、様々なプロジェクトが進行中です。

熊本は、九州産交グループの発祥の地であり、発展の地でもあります。熊本の方々に「九州産交グループがあってよかった」と感じてもらえるよう、全社を挙げて取り組んでいきます。

そんな当社が求めるのは、好奇心旺盛な人です。賢く、そして「ヤンチャ」であってほしいと考えています。九州産交グループは地域に根付き、長年にわたって事業を展開してきた老舗企業でありながら、HISグループの一員としてベンチャースピリットも大切にしています。

この会社や仕事をまずは好きになってほしいですし、失敗を恐れず様々なことにチャレンジしてほしいと思っています。社員のチャレンジを支えるため、社内の制度や風土の改革にも取り組んでいます。年功序列の廃止、評価制度・給与体系の見直し、残業を減らし休日を確保できる体制や仕組みづくりなどを進めています。

新卒採用では希望する事業への入社・配属の確約や、社内転職も可能になりました。 中途採用においては、多彩な事業・仕事があり受け皿も豊富です。これまでの経験を活かせる場が必ずあります。「熊本が好きで、熊本に貢献する仕事にチャレンジしたい!」という熱い思いを持つ仲間を増やしていきたいです。

編集後記

チーフコンサルタント
田尻 由美子

社長室を設けず、常にフロアで社員たちと意見を交わし、コミュニケーションを大切にする岩間社長。「熊本は上質で美味しい水や食材があふれ、車で少し行けば阿蘇をはじめとする美しい大自然が広がっている。子どもの教育環境も整っており、この恵まれた熊本の素晴らしさを広め、活性化し、貢献していきたい」と熱い想いを語ってくださいました。

HISグループで日本各地を巡り、地域活性化を手がけてきた岩間社長だからこそ気づく熊本の魅力と秘めた可能性を、これからさらに開花させてくれると確信しています。

グループ内では、ひとり一人がのびのびとチャレンジできるように制度や風土の改革が急ピッチで進行中です。仕事を楽しみながらキャリアを磨き、大好きな熊本に貢献できる会社です。

関連情報

九州産業交通ホールディングス株式会社 求人情報

企業TOPインタビュー一覧

ページトップへ戻る