株式会社ほがや
上野裕二さん(仮名・総務課長) 40歳
本当にやりたい仕事があるのなら、年齢であきらめるのはもったいない。
熊本にある菓子商社へ転職し、総務部課長として活躍する上野裕二さん(仮名)。総務から税務関係までを一手に任され、「とてもやりがいがある」と話す一方、プライベートでは熊本県大津町の中心部にマイホームを購入。休日は家族とともに、阿蘇をはじめとする自然豊かな環境を楽しんでいる。
そんな上野さんが転職活動を始めたのは、40歳の時だったという。決して早いスタートではなかったにも関わらず、希望通りの転職に成功できたのは、自分に磨きをかけ続けてきた努力と、リージョナルキャリア熊本との出会い。
そして、年齢を理由にあきらめるのではなく、自分の思いをかなえるために転職活動に立ちあがった、決断の賜物だった。
(※本記事の内容は、2015年12月取材時点の情報に基づき構成しています)
- 過去の
転職回数 - 1回
- 活動期間
- エントリーから内定まで218日間
転職前
- 業種
- 金融
- 職種
- 総務・経理
- 業務内容
- 人事・労務・経理業務
転職後
- 業種
- 菓子製造・販売
- 職種
- 総務課長
- 業務内容
- 管理部門(総務・経理・人事)のマネジメント
「総務だけ」「経理だけ」じゃなく、トータルで仕事がしたい。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
観光地のお土産コーナーには、その地方の特色を生かしたお土産がずらりと並んでいます。そんな中でもっとも重宝されるのが菓子製品。そんなお土産用菓子の製造から卸販売までを手掛けているのが「ほがや」です。
グループの本部は石川県にあるのですが、私が入社した「ほがや」は九州・山口地区を担当する会社で、同地域にあるホテルや旅館・空港・高速・道の駅・百貨店・テーマパークなど、主要な観光施設のほとんどをカバーしています。商品ラインナップも数多く取り揃えており、熊本ならデコポン、大分ならカボスをなど地域の特産品を使った商品にこだわりを持っています。
現在、私は総務部課長として4名の事務スタッフと共に、総務・経理・対外的交渉事など多岐にわたる業務を任されています。具体的には、規程の見直し・採用面接・給与計算のチェック・社会保険関係手続・売掛金回収・固定資産管理・税理士との打ち合わせ・観光協会や大津町の会合へのなど、多くの経験させてもらっています。大変忙しいで毎日ですが、希望通りの業務内容ですので大変満足しています。
入社前のご経歴を教えて下さい。
大学卒業以来約17年間、中小企業者を対象とした共済を扱う事業協同組合で、営業(3年)・総務(10年)・経理(4年)と幅広く担当してきました。具体的には、総会の運営や保険の支払業務、代理店や支店の管理、労務関係などに携わっていました。36歳からは係長を任され、若干ですがマネジメントも経験していました。
転職のきっかけは?
前職では、総務の仕事を10年間担当していました。総務業務もやりがいはあるのですが、新しいことにチャレンジしたいと考えるようになり、経理業務に興味を持ち始めていました。
常々、当時の上司には総務部と経理部の連携の必要性を提案していたのですが、なかなか受け入れてもらえませんでしたので、経理知識の習得が自身のキャリアの幅になると一念発起。働きながら税理士資格取得の学校に通い、科目合格まで進みました。
その後、希望していた経理課への異動が叶い、37歳で経理部に異動することができました。ところが、実際に経理の仕事に就いてみると、今度は毎日お金相手だけの仕事・・・。勝手な話のようですが、自分は総務のような、人と向かい合う仕事も好きだということに改めて気付いたのです。
「総務も経理も総合的に携われるような仕事に就きたい!」という思いがどんどん強くなっていき、40歳の時「ここで動かなかったら、もう間に合わない」という気持ちになり、転職活動を始める決意をしました。
転職活動はどのように進めましたか?
仕事は休めなかったので、大手の転職サイト数社に登録し、オファーを待ちました。希望職種は総務・経理の両方に携われるような管理部門の仕事。勤務地は出身地である熊本か、住み慣れた福岡と決めていました。
数社からオファーメールは届いたのですが、明らかに希望とは違う職種のものばかり。希望する要件を満たすような求人案件にはなかなか巡り合うことができませんでした。やっとピッタリの求人を見つけ、応募書類を提出するもなかなか返事が帰ってこない、日々その繰り返しでした。
やはり40歳という年齢がネックとなり、書類選考で落とされていたのではないかと思います。2度ほど面接の機会はいただきましたが不合格。
そんな状況が4カ月ほど続いていた頃、リージョナルキャリア熊本から連絡が届きました。熊本・福岡に特化している点に興味を持ち、コンサルタントと福岡で面談し、紹介された求人案件の中から現職を志望しました。
今の会社に決めたポイントは?
好奇心旺盛で、転職するならまったく違う業界にチャレンジしたい。特に、衣食住に関わるメーカーで働きたいと思っていました。「ほがや」は菓子のメーカーであり商社でもあるため、工場の運営から卸販売まで、いろいろな仕事に携われることにも魅力を感じました。
また、私自身が阿蘇出身(妻は大分県豊後大野市の出身)でしたので、親の近くにいれば、将来的にも安心と思えたのが決め手です。
阿蘇にある実家まで車で約30分。親孝行ができることもうれしい。
転職していかがでしたか?
自分が希望していた通り、総務部門のあらゆることに携わることができ満足しています。初めて経験することもあるので勉強は必須ですが、とてもやりがいを感じています。
もちろん最初は戸惑いました。業種も違うし、最初から課長として入社したので、プレッシャーもありました。どうやって周囲の人たちと信頼関係を築くかが一番難しかったですね。
初めて経験する仕事もたくさんありました。それまでは従業員としての立場でしたが、今度は会社側の立場。労働組合との話し合いに向けて弁護士と打ち合わせをしたり、道路拡張にむけた国交省との打ち合わせを任されたり。でも役員の方々にいろいろなことを教えてもらいながら、乗り越えてきました。周りのサポートのおかげで今があると思っています。
生活面での変化はいかがですか?
福岡市から、熊本県大津町に家族と一緒に引っ越しました。子どもは2人いますが、まだ小さかったので引っ越しに支障はありませんでした。当初は賃貸マンションに住んでいましたが、半年後にはマイホーム(戸建て)を購入しました。
会社へは車で10分。大津駅にも近く、熊本市中心部まで30分程度のロケーション。生活必需品はひと通り揃うのでとても便利です。福岡では自家用車を保有していませんでしたが、こちらでは早速購入し、行動範囲は広がりました。
周囲は自然に囲まれ、観光名所や温泉も多く、週末に家族揃って出かけることが何よりの楽しみです。子供たちのためにも、移住して本当に良かったと思っています。
また、実家の阿蘇にも近く、自宅購入後は母親や妹がよく遊びに来てくれます。子供たちの面倒もよく見てくれるので大助かり。長男ですので、いつかは親の近くへ帰りたいと思っていました。「少しは親孝行できたかな」と思っています。
困っていることや課題はありますか?
初めて担当する業務に戸惑いはありましたが、今のところ困ったことはあまりありません。
収入は下がりましたが、入社間もないし、家族4人が十分暮らしていけるくらいの収入はあるので、充分感謝しています。熊本は生活物価が低いため、福岡の時よりも経済的にはゆとりがあるような気がします。
転職してよかったと思うことは?
やはり、ずっとやりたいと思っていた幅広い仕事ができるようになったことです。勉強していた経理の知識も、ずっと培ってきた総務の経験も、どちらも活かすことができていますし、会社に提案もできます。もちろんすべてではありませんが、自分の考えたことが通ると、嬉しいです。
生活面でも大変暮らしやすい環境です。仕事とプライベートの両立ができ、とても満足しています。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
もし、本気で「転職したい」という思いを抱いているのであれば、少しでも早く行動することをおすすめします。私は幸い41歳で転職に成功しましたが、やはり年齢の壁はあると感じました。だから、行動するなら早いに越したことはないというのが私の実感です。
それと、自分のキャリアのために準備しておくことも大事だと思います。私は、会社にしがみつくのではなく、他の会社にも「欲しい」と思ってもらえるような人材になりたいと思い、経理の勉強を始めました。会社に文句を言うだけでは、先へは進めません。やりたい仕事があるのなら、自分に磨きをかけていくことも大切ではないでしょうか。
リージョナルキャリア熊本にも大変お世話になりました。特に、面接のアドバイスを受けたことがとても役に立ちました。そのおかげで、「ほがや」の面接でも前向きな言葉でしっかり自分の思いを伝えることができ、合格できたと感謝しています。