中園ホールディングス株式会社
門井直哉さん(仮名・経営企画) 38歳
安定を求めて自営業から転身。経営の経験を活かし、新規事業の立ち上げに従事。
現在、熊本の中園ホールディングス株式会社で活躍している門井直哉さん(仮名)は、入社直前まで自分立ち上げた会社を経営する「社長」だった。転機になったのは、自身の結婚。自営業は収入に波がある。これから結婚するパートナーのために、より安定した会社員への転職をめざすことにしたのだ。
転職の希望条件は、できるだけトップに近い立場で経営に携われる仕事をすること。そんな一見難しそうにも思える要望に真摯に耳を傾けてくれたのが、リージョナルキャリア熊本のコンサルタントだった。
紹介されたのは、多角化を進める地元企業の「経営企画」。入社すると、早速新事業の立ち上げを任された。「給料をもらいながら今みたいな仕事ができるなんて、本当にありがたい」と話す門井さんの表情は、生き生きと輝いていた。
(※本記事の内容は、2018年7月取材時点の情報に基づき構成しています)
- 過去の
転職回数 - 1回
- 活動期間
- エントリーから内定まで55日間
転職前
- 業種
- 営業代行
- 職種
- 経営者(代表取締役)
- 業務内容
- メーカーと提携し 営業代行・販売促進をしながら事業を構築する業務
転職後
- 業種
- クリーニング業
- 職種
- 経営企画
- 業務内容
- 新規事業立上げ及びそれに付随する業務
結婚を機に、転職を決意。結婚式の2週間前に内定を得ることができ、ひと安心。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
クリーニングを中核事業として展開している「中園ホールディングス」で、家事代行サービス事業を立ち上げ、同事業のマネージャー兼プレイヤーとして働いています。お客さまから依頼される仕事の内容は幅広く、電球の取り換えから部屋掃除、庭の草取りまで、あらゆる家事を代行しています。同時に、事業運営のための事業計画の立案や営業活動、スタッフの採用・育成などを任されています。
入社前のご経歴を教えてください。
熊本の高校を卒業後、アメリカの大学へ進学しましたが、1年半で中退。父が経営していた会社に入社しました。その会社では、生ごみ処理機や発電機などの営業を1年半経験。その後、名古屋で経営コンサルタントを3年。東京で小さな商社のスタートアップに参加して役員を3年。大手の人材派遣会社で2年働いた後、東京で販売代行の会社を立ち上げました。その後、熊本にUターンし、引き続き会社経営を続けていました。
転職したきっかけは?
熊本にUターンした理由は結婚です。交際していた彼女も熊本出身、私の仕事も東京でなければできないというわけでもなかったので、実家をオフィス兼住居にして仕事をしていました。
ただ、結婚に向けて着々と進み始めた時、不安を感じるようになってきたんです。会社経営は収入に波がありました。自分1人ならそれでもよかったのですが、結婚して家族ができれば責任も増えます。早い話、「もっとお金を稼ぐ必要がある」と考え転職を決意しました。
迷いはありませんでしたか?
正直かなり悩みました。不安定とはいえ、好きで始めた仕事でしたしね。この年齢でもう1度会社員としてやり直すということにも不安を感じていましたし。
でも、やはり家族を養っていかなければならないという責任感のほうが強かったですし、親からの勧めもあって転職を決断しました。結婚式の日取りは決まっていたので、何とかその日までにはしっかりした会社に入社を決めようと思っていました。
転職活動はどのように活動を進めましたか?
まずは大手の転職サイトに登録しました。業種にこだわりはありませんでしたが、幹部クラスとして経営に近い仕事がしたいという希望を持っていました。
ですが、大手転職サイトではそういった仕事にはなかなか出会えませんでした。また、興味を持てる求人があったとしても、書類選考の段階ではじかれてしまいました。困ったなと思いながらインターネットでいろいろ検索している時、「リージョナルキャリア熊本」を見つけたんです。
熊本地場企業の求人が豊富で、私が希望していた幹部候補の募集もたくさん掲載されていました。早速、登録して面談をしてもらい、今の会社を薦めてもらいました。結局、結婚式の2週間前に内定をいただけたので、彼女の両親にも胸を張って報告することができました(笑)
今の会社に決めたポイントは?
まずは「経営企画」という募集職種に興味がわきました。会社にも歴史があり、経営が安定している点も魅力でした。
でも、一番の決め手は社長ですね。最終面接が社長だったのですが、すごく熱い方で、「この社長と一緒に新しい仕事をしていきたい」「この社長の近くでなら何か面白いことができそうだ」と感じたんです。社内にベンチャー制度があると聞いていましたので、新しいことにもチャレンジができるのなら申し分ないと考えていました。
仕事とプライベートのメリハリがつき、自営の時より、自分の時間が増えた。
転職していかがですか?
入社後まもなく、社長から直接「新規事業を立ち上げてみないか」と声をかけられたので、その場で「やります!」と即答しました。家事代行の事業は社長が前々から構想していたそうですが、自由に自分の考えで事業を構築できますし、恵まれた環境で仕事をさせてもらっています。
ただ、熊本市内では後発なので、最初はなかなか上手くいかず厳しかったですね。そんな状況下でも会社からは何も言われなかったことが、ありがたかったです。新規事業の難しさを社長が理解してくれていたんだと思います。
事業が軌道に乗りつつある今、「もっとスピード感を出してがんばれ!」と叱咤激励されています。サービスの内容と料金の手頃さには自信があるので、最近は知名度も上がり、さらなる事業拡大に手応えを感じています。
生活面の変化はありましたか?
会社から車で10分ほどの場所に住んでいます。一番大きな変化は、家族との時間が増えたことですね。今の会社は基本的に「残業はしない」という方針なので、18時くらいには帰宅できています。家族と一緒の夕食、子供のおむつ替えから、お風呂、洗濯、皿洗いまで、家事も手伝えますので妻の機嫌もすこぶる良いです(笑)。
自営の頃は24時間体制で仕事をしていたので、余裕がありませんでしたね。自宅で仕事をしていましたが、今のほうが家族に目を向けることができていますし、時間を大切に使うことができています。
困ったことや課題はありますか?
自営の頃は自由に寝て、起きて、という生活だったので(笑)、会社勤めを再開した当初は慣れるまで大変でしたね。でも今はおかげで生活リズムが整って、健康的な生活になったと思います。
転職してよかったと思うことは?
経済的にだけでなく、精神的にも安定しました。自営の頃は収入にかなり波があったので、「このまま結婚して、生活していけるだろうか?」と、つねに不安とプレッシャーを感じていました。今は、仕事だけに集中ができるようになりました。
収入面は、安定しただけでなく自営の時よりも上がったと思います。給料をもらいながら、自由度の高いスタイルで仕事をできるのは、すごくありがたいですね。将来の見通しも明るくなり、妻も安心したようです。口には出しませんが、私の転職を一番喜んでくれているのは妻かもしれません。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
私は何度も転職しました。会社は自己実現の場だと考えています。「逃げ」のための転職はよくないかもしれないけれど、自分をうまく表現できる会社を探すことや、自分が幸せになるための転職は、「あり」だと思います。
また、私は自分の直感を大切にして会社を選んできました。ネット上には口コミも含め、いろいろな情報が載っています。しかし、それらを気にしすぎても本質がつかめません。大事なのは、会ってみて、話してみて、自分がどう感じるか、その会社で働いているイメージがわくかどうか、だと思います。
また、今回はリージョナルキャリア熊本を利用しましたが、相談して本当に良かったと思います。とても親身になって話を聞いてくれましたし、自分に合った企業を提案してくれました。私の代理人として企業側と交渉もしてくれましたし、とてもありがたかったです。
世の中にはいろいろな転職支援会社があります。電話やメールだけで済まそうとしたり、対応はさまざまです。そういう中で信頼できる会社を見分けるためにも、とにかく「話してみる」ことが大事だと私は思います。一生のことだからこそ、労を惜しまず、じっくり話をしてみれば、信頼できる相手かどうか見えてくると思いますよ。