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日本の技術で世界の住環境を変える、住宅業界のプラットフォーマーを目指す。

株式会社Lib Work
代表取締役社長 瀬口 力

更新日:2026年10月07日

熊本県山鹿市出身。熊本大学大学院法学研究科を修了後、1997年に父が創業した有限会社瀬口工務店に入社。1999年、若くして代表取締役社長に就任し、従業員4名の小規模工務店の経営を引き継ぐ。インターネットを活用した集客モデルの確立に注力し、業界の常識を覆す独自の成長戦略を推進。株式会社エスケーホームへの社名変更を経て、2015年に福岡証券取引所Q-Boardへの上場を果たす。2018年には「生活創造企業」を目指すべく株式会社Lib Workへ商号変更し、2019年に東京証券取引所マザーズ(現:東証グロース市場)へ上場。現在は子会社であるタクエーホーム株式会社、幸の国木材工業株式会社の代表取締役社長も兼務し、プラットフォーム事業・3Dプリンター住宅事業など多角的な経営を推進している。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

この記事でわかること

  • ネット集客を武器に、4人の工務店から上場へ成長したLib Work
  • AI・SaaS・IPで地域工務店を支える「住宅業界のOS」構想
  • 自社で試し、磨いた仕組みを全国の工務店へ届ける事業設計
  • 「ゼロから1」を生む人を育て、100人の社長輩出を目指す
  • 3Dプリンター住宅で、海外の住環境課題にも挑む

4人の工務店から年商160億円の上場企業へ。ネット集客で業界を変えた20年。

「注文住宅事業」「プラットフォーム事業」「3Dプリンター住宅事業」の三つの事業を主に手掛けています。注文住宅事業では、WebやIT技術を徹底的に駆使して、住宅産業にイノベーションを起こすことを追求してきました。

土地情報検索サイト「e-土地net」をはじめとするデジタル集客基盤の構築、YouTubeやSNSを活用したWebマーケティングへの注力を続け、業界では類を見ない独自の集客モデルを確立しています。

2015年に福岡証券取引所、2019年に東京証券取引所マザーズ(現:東証グロース市場)へ上場、直近の決算では売上高約156億円、従業員368名(2026年6月時点)の企業へと成長しました。

私が住宅業界に入ったのは、父が創業した工務店を継ぐためでした。最初は従業員4人の小さな会社で、現場の苦労が身に染みてわかりました。

技術力では絶対に負けていないのに、大手ハウスメーカーのブランド力の前に何度も悔しい思いをした。その頃の悔しさが、私のすべての原点になっています。「インターネットで家が売れるわけがない」と言われた時代から約20年、信じてやってきたことが今の強みに直結しています。

上場を果たしたことで、niko and ...や帝人など大手企業との提携もしやすくなり、業界の常識を超えた取り組みが次々と実現できるようになりました。ですが、どれだけ事業が大きくなっても根っこにあるのは「地域の工務店を守りたい」という想いなのです。

住宅業界のプラットフォーマーとなり、業界を変える。

私たちは今、「住宅業界のOS」のような存在を目指しています。例えば北海道の豪雪地帯に私たちが進出して住宅を建てることが本当に正しいかというと、それは違う。その地域ならではのノウハウや工夫は、地元で長年家づくりをしてきた工務店さんにはかないません。

でも、そういった中小の工務店さんは創業当時の私たちと同じように、強い想いがあってもリソースが足りず、困っている会社も多いと感じています。

そうした工務店さんを、私たちが確立してきたデジタル技術やAI、3D技術で支え、より良い家づくりにつなげる。それが私たちの役割だと考えるようになりました。

熊本県山鹿市の本社には全国から年間数百社の工務店経営者が見学に来られます。話せば話すほど、みなさん本当に家づくりを真剣に考えている。各社がより良い家づくりを実現できるように、私たちがデジタルや技術の面でサポートする。それが私たちの使命だと思っています。

世界を見れば、住環境に深刻な課題を抱えている国がたくさんあり、そこに日本の技術と誠実な家づくりの精神を届けていきたい。地方の小さな工務店から出発した私たちだからこそ、できることがある。そう信じて、これからも挑戦を続けていきます。

AIを活用した住宅プラン提案SaaSなどで工務店を強力サポート。

プラットフォーム事業の核となる「マイホームロボ事業」は、AI活用型の住宅プラン提案SaaSです。施主の要望アンケートをもとに、1万プラン以上のデータベースの中から高精度CGパース・VR・間取りなどの提案資料をAIで検索できる仕組みで、すでに200社以上の工務店・ビルダーに加盟いただきました。

「IPライセンス事業」では、「niko and ... EDIT HOUSE」の知的財産使用権を全国のハウスメーカー・工務店に販売する住宅業界初の取り組みも展開中で、現在20社を超える加盟店にご利用いただいています。

同じ志を持った方々の、ちょっとだけ足りない部分を補完できる存在でいたい。それが私たちのプラットフォーム事業の本質です。

3Dプリンター住宅でインドネシア、マレーシア、アフリカへ。

3Dプリンター住宅事業は特に未来を感じさせる領域です。すでに土を主原料とした3Dプリンター住宅を国内で初めて手がけ、平屋約100平米の規模で完成させました。土壁の耐震性能は耐震等級3相当で設計し、材料の配合に関する特許も取得しています。

海外ではインドネシアの企業に出資して、現地ではモルタルを使った3Dプリンター住宅の建設を今まさに進めています。東南アジアは人口増加が続き、住宅供給が追いついていません。

この住環境の課題に、先進技術を持つ私たちが取り組むことで、地球規模の社会課題解決につながると本気で思っています。現地のデベロッパーとも話が進んでいて、将来的には年間数千棟単位での建築も視野に入れています。今後はマレーシア、さらには将来的にアフリカも視野に入れています。

面白い事業がぼこぼこ生まれてくる会社。

私たちの会社の最大の魅力は、「面白い事業がぼこぼこ生まれてくる」ところだと思っています。注文住宅という土台がありながら、SaaS、IPライセンス、3Dプリンター住宅、Web総合展示場と、次々と新しいビジネスが生まれている。

それぞれがバラバラに存在しているのではなく、すべてがつながってクロスセルの構造を形成していく。これは他の住宅会社にはない、私たちだけの面白さだと思っています。

また、私たちは常に「自分たちが先に実践する」ことにこだわっています。自社で試して、失敗して、改善して、成功したものを全国の工務店さんに届けていく。だから提供できるものに説得力がある。机上の空論ではなく、リアルな現場で磨かれたノウハウを提供できる。これが私たちの信頼の源泉です。

今年中にネット上に総合展示場をつくる新しい取り組みをまず熊本でローンチする予定です。モデルハウスを建てるよりも圧倒的にコストが低く、VRでわかりやすく、夜中でも家から検討できる。

小さな工務店は必要な分だけ従量課金で参加できるので、大手も中小も同じ土俵で戦える場をつくりたいと考えています。住宅業界のデジタル化はまだまだ遅れていますが、だからこそ私たちがやる意義がある。「住宅業界のOS」として、日本そして世界の住環境を変えていきます。

100人の社長を育てる。

一番必要なのは、「ゼロから1を生み出せる人」です。通常の準備作業はもう1〜2年もすればAIが全部やってくれる時代が来ると予想しており、今も社内で実践が進んでいて精度が高まっています。

建設現場でも自動化が急速に進み、5年以内にはロボットが木材を運んでいるような世界が来るかもしれない。そうなったときに本当に価値を持つのは、新しいことを構想できる「空想力」ではないでしょうか。

建築の経験がなくても全然かまいません。自動車の開発などプロダクトをつくってきた方、製薬業界でサービスの新規開拓をしてきた方、業界は違ってもゼロイチをやってきた方は、非常に面白いと思っています。SaaSの営業やIPライセンスの拡販など、他業界での経験がダイレクトに活きるポジションもたくさんあります。

来期からは「社長塾」を始めようと考えています。マーケティングとは何か、財務諸表の読み方、事業計画の立て方といった、社長になるためのエッセンスを管理職のメンバーに伝えていく場をつくります。

私たちのビジョンの中に「100人の社長を育てる」という目標があります。新しい事業を生み出して、その会社の社長を任せていく。そういうキャリアパスが実現できる会社にしていきたい。

今ようやく1人誕生したところなので、あと99人これから育てなければいけない(笑)。地域の技術力ある工務店を守りながら、世界中の人々の住環境を豊かにするという大きな目標に向かって、夢を持って走れる人と一緒に働きたいです。

編集後記

チーフコンサルタント
桝永 健夫

瀬口社長と初めてお会いしたのが約25年前。「インターネットで家が売れるわけがない」と言われた時代から、信念を曲げずに走り続けてきた姿をずっと見てきました。

インタビューを通じて、現場で積み重ねてきたリアルな経験と熱量が、言葉の一つひとつに宿っていると感じました。SaaS事業や3Dプリンター住宅など、次々と新しいことに挑戦されている、本当に「面白い事業がぼこぼこ生まれてくる会社」です。

地域の工務店を守るという地に足のついた使命感と、世界の住環境を変えるという壮大なビジョン。熊本の地から実現していただきたいと願っています。

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